■中心と周縁【H高校、三年村会議 主催】


                     2002/11/16実施  いさを                   



【第一部 唄と踊りにふれて】

メモ 1 「舞踊」の整理
・ 古典舞踊(宮廷の舞踊)
王族の祖先の慰霊 → 外交(中国からの冊封使を歓迎する)1400頃から1866(尚泰)まで
   古典舞踊の分類   老人踊 若衆踊 女踊 二才踊 打組踊
    *「組踊」(18c〜)唄、踊り、台詞、他の総合芸術。大和の浄瑠璃、歌舞伎に学ぶ。
・ 雑踊(琉球処分後の舞台芸能で発達、民衆の娯楽)
・ "民俗文化"としての踊り(各地の奉納、祭、ほか)
  例 ウシデーク(沖縄島) エイサー(念仏踊り 沖縄島中部) クイチャー(宮古) 巻踊り(八重山)

メモ −2 「舞踊についての中心と周縁」
  • (時代1 冊封以前)  「中心・周縁」あまりはっきりと分からない。
  • (時代2 冊封の時代) 中国と琉球。外交の手段としての踊り。士族の教養。各地の民俗芸能に学ぶ。
  • (時代3 琉球処分後) 大和と琉球。同化が徐々に強まる? あるいは揺れの繰り返し?
  • (時代4 15年戦争)  全体主義の中の琉球。同化と差別。方言論争。「民芸」の発見。等々
  • (時代5 「戦後」)  琉球文化の見直し(合衆国の施策)。そして「施政権返還」後。観光化。

メモ −3 演目に関連して
  • 「四つ竹」  四つ竹を鳴らし御座に出て踊る楽しさ。歓迎の悦び。優美さ。 (琉歌の形式を体感)
  • 「加那よー」 歌垣(アジア、広葉樹林文化)。言葉遊び。愛情の表現。(掛詞、対句)
  • 「鳩間節」  島の木々の逞しさ(成長)、稲や粟の実りの悦び。島の暮らし。豊かさを望む「予祝」。         元の唄と雑踊の比較。踊りの創意工夫。「手(空手)」の話。
  • 「むんぐるくばーさ」 遊び唄。労働歌? 掛け合いのうた。 エロス。
            豚の文化(聖なる存在、正月のご馳走、有難く戴く、屎尿処理
  • エイサー  盆の意味。宗教のあり方。墓で踊る。家々を踊って歩く。青年団の文化(共同体意識)。
    本日の演目
    安波節久高まんじゅう主いちゅび小肝がなさ節安里屋ユンタデイゴ音頭
    (毛遊び) (毛遊び)(新唄)(大和の流行歌)(新唄)



メモ −4 演者の紹介。生き続けている民俗的な文化とは何だろう。

   現代の「中心」が失ったもの。自己の疎外→解放

舞踊の踊り手植竹 しげ子 T岡 Y子 Y良 S子 O矢 T子  H T子
エイサー(大太鼓)H賀 T也 D渕 R郎 O矢 S史
    (パーランク)I波 M子 K川 K子 H池 A乃 S田 T樹
 唄H岡 M巳


  【第二部 「平和学習」の関わりから】

メモ −1 琉球と沖縄 「琉球は中国、沖縄は大和」「沖縄へ行く(沖縄から来た)」「琉球新報・沖縄タイムス」

メモ −2 「国境」の変遷(列島のなかに存在する「国」)
  1. 国境のない時代。
  2. 冊封の時代の大和との境の確認
  3. 島津の侵略(奄美の分断、先島への支配の強化)
  4. 琉球処分(琉球藩設置、台湾との関係、日清の交渉「分島案」二種類。「蛍の光(1881年)」4番)
  5. 日清戦争前後(日清戦争中は清よりの世論も。「事大主義」。人頭税廃止の前後、徴兵制→日露戦争。選挙権。)
  6. サ講和条約+安保(1952.4.28)
  7. 奄美の施政権返還(1953)  ⇔「排薩興島」なるスローガン
  8. 施政権返還(1972.5.15)   ←「沖縄を返せ」
  9. 今後は?(「国境」の変質)   「沖縄へ返せ」

メモ −3 周縁であることの功罪
  1. 「大交易時代(14-6c)」「日支両属」非武の外交、文化の交流(「蛇皮」線、「いちゃりばちょーでー」)
  2. 文化のタイムカプセル(「(祖)日本語、「すとぅむてぃ」「ひら」) 総合的な文化が生きている。
  3. 事大主義。皇民化教育と教師の地位。(仲宗根政善、屋良朝苗、中村文子、)
  4. 同化と差別。 貧困と移民。(余談だが、長嶺ルーシー、城間アルベルト、照屋林助、登川誠仁、知名定男)
  5. 軍事の要所。「太平洋の要石」(中心=ゲリラの攻撃対象)。(多数の市民の好都合=周縁へ追いやる) * 日本から見た沖縄  亜熱帯、異文化、
      平和学習(沖縄戦の学習=皇民化政策、日米戦。米軍基地の存在を学習に利用)
     最近の傾向(サミット、リゾート施設の充実、交通施設整備→「癒しの島」。軍事基地再編拡張/基地被害の恒常化)

メモ −4 (観光の戦略としての)スローガン

「いやし」「だいじょうぶさー」「てーげー」「なんくる」「ちゃんぷるー」「長寿」「自然が残る」「ディープな(沖縄)」
 2001合衆国中枢部へのゲリラ攻撃(参考「テロ」の定義の試み「政治目的の暴力行為」)と「観光業」の打撃。


メモ −5 平和の礎(人数は完成当時のもの、年々追加・訂正している)
  • 戦後50周年記念事業。沖縄県の仕事。敵味方、内地外地(植民地)、を問わず戦没者を刻銘。
  • 県内−15年戦争期間内の戦没者。字ごとに。「〜の子」など。一家全滅。小学生の校外学習の風景。老婆の涙。
  • 他府県(7.5万)−沖縄戦戦没者(第32軍所属)を都道府県別(アイウエオ順)。男だけ。
  • 連合軍戦死者(合衆国1.4万、英国82)
  • 台湾(28)、共和国(82)、韓国(54)


メモ −6 ガマ
  1. アブチラガマ 玉城村が整備(管理)、さらに昨年3村で「観光案内所」作り、運営。
  2. ガラビガマ  数年前に近くに運動公園(具志頭村)駐車有料の表示。怪我(事故)などで地主が嫌がる。
  3. チビチリガマ トイレ、階段。雑を創る。右翼が破壊遺。族会の意向「墓」。村が石碑を作成(シムクガマと両方)

メモ −7 小地域の企画と大企業による「リゾート開発」
 マングローブ見学 西表エコツーリズム協会、カヌー組合 慶佐次(沖縄島東村)など、
 町並の保存 竹富(八重山)など ・滞在して農漁業や工芸

メモ −8 今後の「希望」

 普天間(佐喜真道夫) 読谷山(知花昌一) 名護(目取真俊、宮城康博) 西表(石垣金星、ほか)





【追加 唄でつづる琉球の歴史】
  • てぃんさぐの花 安里屋ユンタ  −対句形式。教訓歌。
  • 廃藩の士            −琉球処分。「唐や平組、大和断髪、我した沖縄片カシラ」
  • 漲水クイチャー         −人頭税廃止運動。
  • 軍人節             −大東亜戦争。徴兵、出征。
  • 屋嘉節 (PW無情)      −米軍による捕虜となる。収容施設で。
  • 艦砲の食ぇー残さー       −戦後の生活。「戦果」をあげて捕まって、。
                      「子孫末代に遺言しよう」
  • 時代の流れ           −アメリカ世。銭の計算まで変わって。

【資料】


A  打ち鳴らし 鳴らし  四つ竹は  鳴らし   今日や 御座出て   遊ぶ  嬉しゃ
  (うちならし ならし  ゆつだきは ならし   きゆや んざんぢてぃ あしぶ うりしゃ)
   【踊りこはでさ節】

B  面影の立てば   宿に居らりらぬ  でぃちゃよ押し連れて  遊でぃ忘ら
   貫木屋の離屋   手巾布立てて   我が思る里に      情け呉らな
   情け呉るびけい  手巾呉てぬすが  腰くん締める      綿紗呉らな
   遊で忘ららん   踊て忘ららん   思い勝て行ちゅさ    あれが情け
   【加那よー】

C  鳩間中森   走い登り  蒲葵の下に  走い登り   かいだぎてとると 勝て見事
   美さ生りだる 森の蒲葵  高さ盛いだる 頂上の蒲葵  かいだぎてとると 勝て見事
   前のとよよ  見渡しば  行く舟来る舟 面白や    かいだぎてとると 勝て見事
   米やしみ付け 面白や   粟ばしみ立て さて見事   かいだぎてとると 勝て見事
   【鳩間節】

D  麦ぐる蒲葵笠や 何ゆしゃる物やりゃ  美童真頂    隠し居りよ
   色ぶり二才や  如何しゃる者やりゃ  麦ぐる蒲葵笠と 悋気ゆし居る
     ふずる風呂敷ー美童横面  紺染め袖なー美童玉乳  綿入り腰巻きー美童ぴつぁがま

   後ぬ豚や 何ゆしゃるものやりゃ  美童ぴつぁがま  拝み居る
   後ぬ豚や 者言ずものものやりゃ  何ゆすんものでぃ 問いみゆばさ
   【麦ぐる蒲葵笠】

E  安波の真はんたや 肝すがり所     宇久の松下や   寝なし所
   かりゆしの遊び  打ち晴れてからや  夜の明けて太陽の 上がる迄ん
   【安波節】

F  髪小に惚れて 目眉小に惚れて 腰小に惚れて ちんと三惚れ
   【いちゅび小】

G  里がする愛さ  肌愛さ愛さ     打ち重び重び 肝の愛さ
   肝や肝しちどぅ 持て成しんさびる  真肝我肝   里がままに
   【肝愛さ節】

H  てんさごの花や 爪先に染めて   親の寄せ言や  肝に染みり
   夜走らす船や  子ぬ方星目当て  我産ちぇる親や 我身どぅ目当て
   【てぃんさぐぬ花】




【参考】
 観光コースでない沖縄  高文研
 写真集 平和の礎    
 沖縄語辞典(国立国語研究所)
 高等学校 琉球・沖縄史 沖縄歴史研究会 新城俊昭 東洋企画
 (コンパクト版)沖縄辞典  琉球新報社


   

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